食に伴う共食い性は、特定の動植物を食べないことでは回避されないのではないでしょうか。 / むしろすべて恵みとして感謝していただけばよいのではないですか。 / 殺す過程を経験しないで肉を食べるのはおかしいとおっしゃいましたが、植物はそのなかに含まれないのですか?
いろいろ深い突っ込みをありがとうございました。皆さんのご意見はもちろんなのですが、ぼくは講義でもお話したように、哺乳類・鳥類の肉を回避することで免罪符を得ようとは思っていません。衣食住のあらゆる面で、現代の文明システムは動植物の生命を犠牲にしているわけですから、あるいは生物の生命維持活動それ自体が他の個体の犠牲を前提にしているのですから、理想論では自分の生命を繋ぐことさえできません。また、「恵みに感謝する」という言説も、そのシステムを維持・正当化するために創出されたものに過ぎず、一定の意義は認めますが満足のゆくものではないのです。ぼくが可能な限り肉食を回避しようとするのは、そうしたシステムと言説が支配的になることに抵抗するため、前近代の思考のあり方をアンチ・テーゼとして提示したいからなのです。