キリスト教以前の古ヨーロッパ信仰で、ローマ・ギリシア的なものは古典として受容され、ゲルマン・ケルト的なものは悪魔として除外されますが、その相違はどこにあったのでしょうか。

古典古代の世界観はキリスト教公認当時の支配的文化であり、同教はそれらと結託して教線を拡大してゆきました。一方のケルト的文化は、ローマの政治文化と一体化してガリア、ゲルマンに侵入してきた同教に敵対するものでした。いいかえれば、それら異教を滅ぼすことで、同教の世界宗教化の基礎が構築されたのです。多神教と人身供犠を伴うことはギリシア・ローマも同様でしたが、それらを胚胎した地中海周辺の生態系は文明の発展に伴って破壊が進んでおり、その形式性のみが受け継がれることになったということもできるでしょう。