神と仏の違いはどこにあるのでしょう。また、動物が仏にたとえられることはありますか。
日本列島でいえば、神は在来の力ある精霊(アニミズムが基礎にありますので動植物を含みます)、もしくは同じような存在で外国から持ち込まれたもの。仏は仏教における至高の存在で、生命が修行を重ねて悟りを開き、あらゆる迷いや煩悩、苦しみから解放された存在です。原始仏教では生きた人間を指しますが、その後神聖化が進み、大乗仏教では神と同等の存在となっています。大乗仏教では、東漸して日本へ至る過程で様々な在地の神を取り込み、菩薩・天部などを形成しました。菩薩は仏になるために修行している者、もしくは衆生救済のため生身の身体に留まっている者で(観音、文殊など)、天部は天界を形成する仏教の守護神です(四天王、帝釈天など)。動物はそのまま仏に例えられることはほとんどありませんが、神格化された存在が仏教へ取り込まれると、天部や菩薩に位置づけられたりします。また、本地垂迹思想が進みますと、神は特定の仏が衆生救済のために姿を変えた仮の姿と考えられるようになり、伊勢神宮が大日如来、熊野本宮が阿弥陀如来などと位置づけられてゆきます。そうした神仏習合の思潮に沿って、動物神が仏とみられることもあったかも知れません。