関東と関西における骨上げの違いは、宗教的なことが原因となっているのでしょうか。

様々な原因が考えられますが、ことは宗教的な問題だけに止まらないかも知れません。関西と関東では、実は自然環境の様相も微妙に違います。例えば植生ですが、関西は朝鮮半島南部から中国雲南省などに至る照葉樹林帯、関東は半島北部へ連なる落葉広葉樹林帯に属します。人間は衣食住を自然環境に依存しますので、構築される文化の基本は植生にあることが多く(何を主な食材とするかについても、生えている野菜・果樹はもちろん、それを食べる鳥や獣なども植生によって左右されるため)、上記の地域も照葉樹林文化/ナラ林文化などと区分して考えることが可能です。また、海外文化との交渉を考えても、関西は南西諸島から東南アジア、中国江南との繋がりが強いですが、関東は北方アジアとの連絡が大きかったようです。もちろん、古代から現在に至る歴史過程にも相違があり、例えば政治史・文化史的な面においては、関西では京都の影響、関東では鎌倉・江戸・東京の影響が強かったといえるでしょう。それゆえに、これだけ列島内での交流が進んだ現在でも、両者の文化には様々な差異が生まれているのです。葬儀の風習も、そうしたたくさんの環境的要因、文化的要因の連鎖のなかで構築されているのでしょう。