アイヌや、アムール川周辺の狩猟採集民に、「シャチ」を海の主とする伝承が残っています。確かに魚+虎という字は、陸上における虎の対応物を連想させますが、「鯱」字は国字なんですよね。ただし、列島に虎はいないものの、大陸におけるその猛威は知識として伝わっていますから、「鯱」字を作成した日本人も同じ認識であったと考えていいでしょう。山陰地方などでサメをワニというのは、シャチ云々は関係なく、恐らく海の脅威の顕現として発想されたワニを、サメに重ね合わせたのでしょう。山陰では、それだけサメが怖れられていたともいえます。