阿倍氏について。供御の職には権力が集中しやすいとされていましたが、供御に奉仕する人々にはそれほど高い身分の人はいなかったのではないですか。

大化前代、氏族制のなかで阿倍氏という氏族が台頭してくる過程の話ですね。まだ位階が成立する以前の段階です。供御は常に王の側近に奉仕し、その身体の安全を保証する役割を持っていますので、隠然たる権力の温床となります。もちろん、実際に食物の料理や配膳を行う人々は階層の低い人々ですが、それを統括するのは一定の勢力を担い、宮廷に責任を持つ人物ということになるでしょう。さらに、彼らは食物の調達の必要から海洋氏族を傘下におさめ、海外交通や軍事を担うようになってゆくのです。