神話のなかに王権の権威を高める意味を持っているものが多く出てきましたが、当時の実質的な権威とはどれほどのものだったのでしょう。

政治的な権力の拡大を狙っているむきもありますが、それよりも重要なのは、大王の権威が自然神を上回るのだということを喧伝することでした。これらの神殺し譚は多く開発の現場で語られ、工事の達成と一体になって、人々の自然神への恐怖を払拭していったものと考えられます。それまで誰もみたことがなかった都城や条里の造作に参加し、造り変えられてゆく環境を目の当たりにすることで、人々には王権への畏怖が身体化されていったことでしょう。