祥瑞とはいつ頃始まった制度なのですか。また、天平の亀はなぜ亀なのでしょうか。

発想としては周王朝の頃から存在しましたが、制度的に確立してゆくのは、災異思想が発展した漢代でしょう。日本の律令国家も、歴代中国王朝の思想を受け継ぎ、祥瑞を政治的に利用してゆきます。ちなみに亀は祥瑞のなかでも一般的なもののひとつですが、講義でも触れた洛書に始まり、日本古代でも改元の際に頻繁に登場してきます。そもそも中国では、洛書に繋がる魔法陣を表現したらしい図板を挟んだ「玉亀」が旧石器時代の遺構より出土しており、図像学的には漢代に確立する「式盤」へ連続する様子を復原できます。これを背景に、亀甲は殷代以降、神や天の意志の現れる場所として卜占に利用されてゆくのです。日本古代の神祇官(祭祀担当の役所)にも、卜部という亀卜専門の卜官が配属されていました。