史料13で、聖武天皇が橘諸兄を誉めているのは、諸勢力の流れをよく読んでいるということなのでしょうか。

詔勅の内容がどれほど天皇の個人的意図を反映しているかということは、史料ごとに充分考えてみなくてはなりません。史料13の場合は、草壁皇統を維持するミウチ的まとまりの総意といえるでしょう。公卿の席は限定されていますので、橘氏が有力な立場を維持してゆけば、朝廷内の親藤原勢力は(基本的に)増加するということになります。聖武光明子にとっては、自分たちの王権の志向をより実現しやすい、安定した情況が現出したことになります。