補陀落渡海について、何かの本で「補陀落浄土」と浄土信仰と混同して書かれていたのを覚えています。実際に、この2つの信仰が結びつくことはあったのでしょうか。

浄土信仰は、必ずしも「極楽浄土」だけを指すわけではないのです。例えば『阿弥陀経』などでは、東・西・南・北・上・下の六方にそれぞれ異なる浄土が設定しています。いわゆる阿弥陀如来の極楽浄土は西方に位置しますが、東方には薬師如来の瑠璃光浄土が存在する…といった具合です。ですから、観音の浄土は「補陀落浄土」で間違いありません。