日本の律令制は中国のそれを継承したものですので、基本的な相違はありません。しかし、篇目や条文のいちいちを詳しくみてゆくと、日本の実状に合わせて局所的に改変が加えられているのは確かです。例えば、神々を扱うような条文はその相違がはっきりしますが、中国の祠令では伝統的な供犠の条文(牛・羊・豚)が、日本の神祇令では削除されています。本来ならば祭祀の意義で行われるべき大・中・小の区分を、その準備のための斎戒期間の長さで分けることも特徴でしょう。また、中国では仏教・道教の双方の管理規定として作成した「道僧格」を、日本では「僧尼令」として一括し令に組み込んでいるのも大きな相違です。