毛衣が、なぜ羽衣に変わってしまうのか気になりました。

この変化には、恐らく仏教の天界のイメージや、神仙思想や道教の仙界のイメージが関わってくると思われます。そこでは、天人や天女、仙人や仙女たちが、軽やかな衣を纏って天空を飛び交っているわけです。とくに神仙境については、漢代以降に具体化され、六朝期に爆発的に膨らんでくる異界です。それらは局地的な異界のイメージを吸収しながら拡大してゆきますし、そもそもの起源自体も動物の主のいる精霊の故郷とも重なります。毛衣が薄絹の羽衣となるのも、必然的であったといえるかも知れません。