オシラサマという名称は馬と関係なく付けられたのでしょうか。 / オシラサマの神話において、主人公が馬であることは何か意味があるのでしょうか。蚕と馬とは結びつかないのですが。

オシラサマという呼称蚕の影響でしょうが、その存在自体は、遠野で養蚕が始まる江戸中期以前に遡るようです。近年では赤坂憲雄氏らによって、アイヌのイナウや、さらに北方の民族宗教と結びつくアジア的広がりが指摘されています。また、馬と桑・蚕との繋がりについては、古く桑に対して動物供犠を行う習俗が存在し、それが神話に反映しているのではないかという小南一郎氏の見方もあります。蚕室に入れば雷の害を除けられる、という発想も中国にはあったのですが、馬と雷電とは象徴的に共通するものでもあったようです。もしかすると、厩舎の2階に蚕室を作る、という場合もあったのかも知れません(家畜の発する熱で蚕室が暖まれば、蚕の成育も早まります)。