憑童が何なのかよく分かりませんでした。 / 夏の怪奇番組などで、霊能者が芸能人に憑依した霊と会話したりするのをみることがあります。駆り移しをしなくても霊の声を聞いたりできるのでしょうか?

憑童は童子、憑坐は童子もしくは女性で、ともに霊を乗り移らせる容れ物です。しかし、これは単なる受動的な容器ではなく創造的な容器であり、霊は憑坐につくことで初めて我々に理解できる言葉を発するのです。ただし、それは文脈や論理がうまく通っていない場合が多く、それを分かりやすく秩序立てるのが僧侶の役割のひとつなのです。この構図は、シャーマニズムによくみられる巫と審神者(サニワ)の関係に等しいものです。近代科学的にかかる憑依現象のすべてを否定するつもりはありませんが、憑坐にも審神者にも熟練の知識・技術が必要なことは確かで、彼らの技が巧みであればあるほど、周囲は悪霊の声として納得することになるわけです。
ちなみに、こうした現象には憑坐を必要としない場合もあります。昨今の霊能者のあり方はひとまず措くとして、患者から直接霊の声を聞く場合には不確定要素が極めて多くなりますから、審神者にはより高度な知識と技術が必要になってくると思われます。