『石山寺縁起絵巻』にある宝鐸の出現は、「よくある話」だったのでしょうか。 / 宝鐸を埋めるのはどうしてでしょう。土地を清めるためですか、何かしきたりがあるのでしょうか。

特定の地域では、「よくある」とまではいいませんが、「聞く話」ではあったのでしょう。良弁との関わりでいえば、ちょっと興味深い事実があります。天武朝に飛騨国漢方薬の白朮採取に派遣された益田直金鍾という人物がいるのですが、彼の本貫である飛騨国益田郡からも銅鐸がみつかっています。「金鍾」は「金鐘」に通じますので、これは銅鐸のことを意味するのかも分かりません。東大寺前身寺院の名称は「金鍾寺」ですが、良弁を介して現れるこの符号も偶然ではないかも知れません。
ちなみに、『縁起絵巻』の宝鐸出現は銅鐸の発掘を意味しています。銅鐸は、神への献上のため、神聖な土地(小高い丘など)に一括して埋納されるのです。