東国行幸が壬申の乱を追体験するためだとすれば、行幸に参加した人々のどれだけがそれを理解していたのでしょう。

これも難しいですね。ただし、壬申の乱は奈良王朝建国の神話ですし、『日本書紀』は多くの官人たちが学んでいたはずです。未だ『万葉集』は編まれていませんが、壬申の乱を歌った万葉歌も存在しました。貴族層はもちろん、付き従った官人たちのなかにも、その意図を理解した人々は多かったのではないかと思います。