伴善男の屋敷の場面は、女性が善男の寝室にいるようですが、これは製作年代の家族誌を考えるうえで重要でしょうか。

絵巻の描かれた12世紀末頃は、妻方同居から新処同居への発展型で家族の居住が行われていたと思われます。源信邸、伴善男邸とも、新処同居の形式とみてよいでしょう。ただし、信も善男も妻が誰であったか分かりませんので、史実としてどのような婚姻形態、居住形態を取っていたのかは不明です。