史料3の「肪チョウ相」に「中有」とありますが、これは法相唯識における「本有」の対概念でしょうか。それともただの文飾ですか。

ここに語られる「中有」は、『倶舎論』に説かれる「四有」のうちのひとつですね。「生有」=どこかに生を得るその一刹那、「本有」=生まれてから死ぬまでの存在、「死有」=生を失うときの最後の一刹那、「中有」=死んでから生まれ変わるまでの中間的存在です。この4つのうちでは、「本有」「中有」は対称的概念であるといえるでしょうね(「対照的」ではない)。