日本の性器信仰について、現在でも愛知県には男性性器を崇める祭祀があると聞きます。大半が失われてしまったいま、なぜこの地域だけで残っているのでしょう。 / 女性象徴が多いのは分かりましたが、男性の生殖器を模した土製品などはなかったのでしょうか。

確かに愛知県の田懸神社が有名ですが、それだけではなく、日本にはまんべんなく生殖器信仰が残っています。村々の境界や交通路に立つ道祖神にも、男根や女陰を模した陰陽石をみることができます。これらは、時代によって微妙な考え方の変質はあるものの、縄文時代から途切れることなく行われている信仰の最たるものだろうと思います。縄文の頃は、土偶や土器などに女性象徴が目立ちますが、石棒などの形で表現された男根(男茎形=オハゼ形といいます)も各地で出土しています。やはり縄文時代から現在まで続く(直結はしません)柱立て習俗にも、男性象徴としての性格を認めることができるでしょう。