納西族の絵文字は、言語学的にはどのような言語に属するものなのでしょうか。 / 祭文に絵文字を用いることと、例えばインディアンのトーテムポールのようなものとに共通性はないのでしょうか。

納西語はチベットビルマ語族イ語グループに属しますが、納西語に精通していなくとも、辞典等を用いてトンパ文字を理解することはできます。トンパ文字には殷代の甲骨文字と似たところもあり、その古さを強調する見解もありますが、例えば「帝」を表す文字がモンゴル族のハーンを形象しているなど、概ね14世紀頃までしか遡及しえないものと考えられています。なお、納西族にもトーテム信仰はみられます。雲南省貴州省四川省などに生活する少数民族には、虎トーテムや大樹をトーテムとするものが多いですね。納西族も、人類の祖先は龍樹から生じてきたものと考えます。ところでトーテム・ポールは、民族の始祖たるトーテムを柱状に彫刻したものですが、彼ら中国東南の少数民族の間にも、立柱を用いた祖先祭祀を確認することができます。インディアン(とくにカナダやアメリカ北部の部族)の文化は、ベーリング海峡を渡って北ユーラシアの文化とも共通性を持っていますので(北方狩猟採集民と一括りにされることもあります)、あながち無関係ではないかも知れません。