白・長頚・長脚を必要要素とするなら、穂落神はツルやサギ以外でもよかったのではないでしょうか。 / 白という色は弥生時代から神聖な色だったのでしょうか。だとしたら、それはなぜですか。 / スズメやカラスなどの害獣はどう認識されていたのでしょうか。

私も、穂落神は特定の要素を持っていれば、ツルやサギに限定しなくてもよいだろうと思います。第一、穂落神自体が仮説ですから、そうした見方に束縛されすぎるのも問題です。8〜9世紀の『古語拾遺』という文献に、ホオジロを田における卜占に使ったらしい記述がでてきますし、カラスも厳島や熊野では神使として崇められ、それが用意した餌を採るか否かで占う烏勧請という神事が存在します。天空を飛ぶさまざまな鳥が神霊の代弁者と考えられ、彼らを招く祭儀が鳥形木製品や鳥装の宗教者たちによって展開されたのでしょう。