古墳はいつ頃まで神聖な場所と考えられていたのでしょう。 / 現在森林のようになっている古墳は、古代から人の手が入っていないと考えていいのでしょうか。 / 前方後円墳などの古墳内は宮内庁により調査不可とされていますが、神聖な場所であるとのほかにどのような理由があるのでしょうか。また、これからこの問題はどうなってゆくのでしょう。

律令国家においては、宮内省の諸陵寮という機関が保護すべき陵墓をリストアップし、人員を配置して管理をしていました。規定を破って領域を侵すものは処罰されましたが、時折、陵墓地域で樹木を伐ったり家畜を放し飼いにしたりすることへの禁令が出ていることからも分かるように、周辺の人々はその領域を日常生活のために利用したいと考えていたようです。また、近世には盗掘も行われ、少なからぬ好事家たちのもとへ出土物品が流通したものと思われます。明治以降に天皇の権威が再活性化すると、政府は古代の方式に倣って陵墓管理を徹底します。現在でも、宮内庁書陵部律令制の図書寮・諸陵寮を受け継ぐ機関)がその任務を担当しています。毎年、歴史学者の団体と宮内庁との間に会合が持たれ、学術調査の申請がなされていますが、近年では墳丘の発掘自体は許可されないものの、墓域への立ち入りと現状調査は実施されるようになってきています。