なぜ「桃」は聖なる果実と考えられたのでしょうか。見た目の美しさや、温暖な場所で育つなどのことが関係するのですか?

諸説ありますが、やはり女性象徴であるという考え方がもっとも分かりやすいでしょう。生命が生まれ出づるところであり、それゆえに強い生命エネルギーを持って、辟邪や不老長寿の効能があるとみなされた。『春秋左氏伝』や『礼記』などのほか、戦国秦の出土文字史料「睡虎地秦簡」にも桃による邪鬼祓除が記されており、中国の戦国時代に遡る習俗であることが知られています。日本では、纒向遺跡から治療の桃核が出土していますが、これから行う飛鳥期の庭園遺跡からも、やはり桃が出土しています。古墳時代以降、中国の政治思想・宗教思想を好んで受容した列島の支配層にとって、桃は極めて馴染み深い果実となったのでしょう。