死者の世界が夜であるのは、やはり夜に対するネガティヴなイメージが作用していたのでしょうか。

もちろんそうでしょうね。民族社会や前近代社会において神話が構築されるとき、その基底に置かれるのは「二項対立」の構図であるといわれます。生と死、天と地、火と水、昼と夜、などなど。それらが組み合わされ、情況に応じて変換されて、物語が紡がれてゆく。生と死/昼と夜が重ね合わされたとき、自分たち自身を視点に置くと、昼に生が、夜に死が結びつけられる結果となったのでしょうね。もちろん講義でお話ししたように、古墳内部の薄暗がり、暗闇への不安感なども、他界のイメージ形成に大きな影響を及ぼしたと考えられます。