古代においては、人間と自然の垣根自体が低かったのでしょうか。

確かに、人間/自然、文化/野生という対立項が、現在より曖昧な状態で混じり合っているのが古代的認識ですね。しかし、大陸・半島から伝来した儒教や仏教は、これらの区別を截然と行います。儒教が自然を文明の素材と捉えるあり方は非常に近代的ですし、仏教も、例えば樹木を命ある存在と認めないような言説を弄します。古代国家が形を整えてゆくなかで、上記の区別も次第に明確になり、人間と自然の距離も広がっていったと考えられます。