家族形態についてですが、女性が家長となった場合、その配偶者の男性はどのように扱われるのでしょうか。

講義でお話しした時点での家族形態では、まず5世紀後半の夫婦同居以前の段階においては、男性配偶者はあくまで配偶者であるに過ぎません。家長と子供たちからなる家族のなかでは、我々が現在考えるような家族としては扱われないようです。また、6世紀前半以降の家長夫婦同居が実現した段階でも、家長を女性が継承したなら「血の論理」が重視され、他集団の男性に家長が譲られることは未だなかったと思われます。家父長制が浸透し、「家の論理」が強くなってきますと、女性の家長継承権は抑制されてゆくことになります。