『春秋左氏伝』には編集が加わっているとのことですが、歴史を研究するうえで適切な史料ではないということでしょうか?

そんなことはありません。第一、我々がみることのできる史料で、世界を透明に反映しているものなど一切存在しない。すべてが、何者かの主観を介した取捨選択・編集・歪曲の結果として創出されているものなのです。それを様々な他の史料と比較検討し、当時の政治・社会・経済等々に当てはめて考え、虚実を判断してゆくのが歴史学者の仕事です。また、歪曲されていればいるほど、その当時の複雑な情況を反映しているとみることもできるので、難解ですがより深みのある文献と位置づけることができるでしょう。