神社で入手できる「破魔矢」は、どうして「矢」である必要性があるのですか。

武器が破邪の力を持つと考えられたことはすでに何度も話しましたが、まず中国戦国末の古典『礼記』に、神聖な樹木である桃で造った弓、同じく蓬で造った矢などが、破邪の武器として登場するのです。中国の出土文字文献には、戦国末のゴーストハントについて記録した文献もあるのですが、やはり桃弓を厲鬼の撃退に用いていることが記されています。これらは古代日本へも導入され、平安時代の宮中でも使用されたことが古記録に明らかです。破魔矢は、そうした伝統を背負って現代に至るものといえるでしょう(現在は、加工しやすい竹・桐・榎などで作成することが多いようですが…)。