史料19の史趙による助言は、占いの結果というより道徳的な判断の部分が大きいように思います。卜占の結果に反しても、道徳的な部分から意見を発した人物などはいたのでしょうか。

当然、後に『孝経』や『礼記』にまとめられることになる倫理・道徳規範も、卜占の際の重要な参考基準でした。卜官=史官が管理する神話=歴史において、「どのように行動すべきか」はむしろ自明です。彼らはその点を前提にしながら占断を下しているのであり、逆説的ですが、それゆえに卜兆や六十四卦の結果が「道徳的なもの」になるのです。