『古事記』と『日本書紀』は、どちらかが特別に重視されているのですか、それとも対等なのでしょうか。 / 両者の記述の相違はなぜ生まれるのですか。

日本書紀』が国家の正史として正統的位置づけを受けており、古代においては、『古事記』はその参考書程度の価値しか認められていませんでした。後者が現在のように広く知られるようになったのは、国学が漢字文化の影響を排した原日本の姿を『古事記』に認めたからで、以降同書は幕末水戸学の思想を形成し、明治維新イデオロギー、近代日本のイデオロギーになってゆくのです。『古事記』は内廷的性格で統一された内容を持っていますが、『書紀』は外交重視で史書としての客観性を保とうとの姿勢がうかがえます。