古代の書物にこんなにも多くの動物が登場するのは、当時人間が自然と共生していたからだと思う。洪水伝説が多くの地域に残っているのも、当時の人々が自然の脅威を恐れ、敬っていたからではないか。

一般的にはそうみえますが、実はそうではありません。中国にしても日本にしても、古代からかなり大規模な開発や環境破壊を行っています。動植物の存在が現在の私たちより身近であり、彼らの文化を構築するために必要不可欠であったことは確かですが、そのことと自然と共生していたかどうかとは必ずしも一致しないのです。ちなみに古代日本では、中国で作られた「神殺し」(自然を象徴する神を人間が滅ぼし、開発を達成する物語)を輸入して盛んに喧伝し、大規模な開発の展開に役立ててゆきます。