馬の皮を剥いだり、逆剥ぎをしたりと、皮を剥ぐという表現が多かったように思います。動物を限定せず、皮を剥ぐことには何か意味があったのでしょうか?

もちろん、皮革生産の問題は看過できません。しかしそれ以外にも、いわゆる「毛皮」が動物の本質を象徴する部位であり、それゆえに毛皮の着脱によって、人間が獣になり、獣が人間になる神話・伝承が広範に残っていることが注目されます。実は、天女の羽衣なども、鳥の羽からなる衣が原型なのです。オシラサマの起源譚でも、剥がれた毛皮が馬と娘をくるみ蚕(馬と同質視されていた)の誕生へ結びつきますので、やはり変身と不可分の関係にあります。