御歳神の神話で、白猪・白馬・白鶏を供えるとの記述がありましたが、なぜこの3種だったのでしょう。

中国の礼制では、牛・羊・豚が代表的犠牲動物で、これは牧畜文化の産物ですね。道教の祭祀などをみると、鶏が捧げられる事例もよくあります。牛や豚には劣りますが、これも家畜の代表ということなのでしょう。また、朝を告げるということで、太陽との結びつきも認められます。よって、伊勢神宮では鶏が捧げられますね。日本の祭祀制度は、多く中国の礼制を模範としていますが、列島の価値観に従って改変が加えられている点も目立ちます。犠牲獣に狩猟によって得たものが用いられるのもそのひとつで、鹿や猪が典型です。また、猪や馬などはその迅速さから、雷や雨の象徴に見立てられることもありました。上の白猪・白馬・白鶏については、猪や馬が水の象徴、鶏が太陽の象徴で、白色は米の色を表しているものと思います。