浄土真宗はとくに「悪人」を救済する宗教だとのことでしたが、真宗を信仰する人はみな悪人なのでしょうか?
「悪人」とは、平安期の顕密仏教の位置づけでは「悪人」にしかならない、つまり救済の対象に入っていないということです(自覚の問題でもあります)。しかし彼らのいう「善人」は、社会から隔絶した生活を営んでいない限り実現できない。生き物を殺して食べ、異性と結婚し…という普通の暮らしを営んでいれば、罪業を犯して「悪人」になってしまう。それが救えないようでは、仏教として意味がないのではないか。普通の人が普通の暮らしを営んでいて救われる宗教を目指したひとつの結果が、浄土真宗だったのだといえるでしょう。