中国においても、猫の第一の役割は鼠害の防止でした。猫たちは人間との「共存」のなかで、稲、蚕、書籍などを鼠から守ることを仕事としていたといえるでしょう。中国の文人たちの詩文のなかにも、「狸奴」という標記で、鼠対策で猫を手に入れる様子や、かかる猫たちを友情や愛情をもってみつめる表現がみられます。恐らく、中国宮廷の諸処においても猫の飼育は認められたでしょう。朝鮮半島においても大差なかったと思います。ちなみに明治末期の東京でも、猫の飼育は都会より圧倒的に農村が多く、猫の伝統的な役割が長く維持されたことを伝えています。