『更級日記』の猫の夢ですが、本当に過去の事実として、作者はこのような夢をみたのでしょうか。

それ自体は確認することができませんが、すべてがレトリックであったとしても、猫を「人間の生まれ変わり」とするような認識が存在したことは動きません。むしろ、読者を惹き付けるための虚構であったとする方が、菅原孝標女の想定読者に上記のような認識が共有されている(とみなされていた)点で、より猫に対する不可思議な認識の強固さがうかがえるように思います。