神話に登場する蛇は、強くて大きい印象ですが、現在実際にみる蛇たちはそうではありません。古代の蛇は、現代のそれとは異なっていたのでしょうか。

それほど違いはなかったと思いますが、水に関わりを持つ蛇の生態が、洪水や鉄砲水などの水害を蛇そのものとして表象してゆくのですね。『古事記』に登場する八岐大蛇も、出雲の斐伊川が山々を削って扇状地に押し寄せる洪水の神格化とみられています。狭い谷間を縫うように進んでくる川は、確かに蛇のようにみえますね。