私は日本史の教員になりたいと思っているのですが、日本の歴史教育について考えたとき、やはり先生の仰ったような問題が頭に浮かびました。日本史を相対化して捉えるために、日本史・世界史という区分なしにひとつの歴史として理解することが必要だと思うのですが、それを教員として実現してゆくのは難しいでしょうか。

勤務校の方針もあるでしょうから、理想を達成するのはなかなか困難かも知れません。しかし、昨年度もこれらのことを考えるためのシンポジウムが行われたように、上記のような問題は多くの地歴科教員が共有している課題なのです。勤務校で勉強会を開いているようなところもありまうし、勤務校の垣根を越えた研究会なども存在します。仲間や理解者をみつけながら、理想を追求してください。そのうえでまずは、生徒たちに「教科書は仮説である」ことを徹底して教え、最新の研究や、教科書と異なる学説などを参考として提供してゆく。現時点での定説として受験日本史は処理しつつ、考える機会をさまざまに増やしていってあげることが大事でしょうね。また、毎日の授業が自分の「歴史叙述」であることを忘れずに。