高校までの日本史が一国史となってしまっているのは問題ですが、欠点よりも利点の方が大きいのではないでしょうか。初めて歴史を学ぶ際に世界史単位で授業を行ってしまうと、生徒が理解できないのではないでしょうか。また、自国史をしっかり学ぶ必要もあると思います。

確かに、一国史にも様々な利点はあるでしょう。しかし、ぼくは欠点の方が多いと思っています。例えば、「世界史は高校に入ってから学べるので、中学のうちは自国史を」との見解ですが、子供の能力を低く見積もりすぎなのではないかと思います。実際に、1955年『中学校学習指導要領社会科』以降、中学では日本史・世界史を融合して学べるプログラムが組まれてきました。まさに、自国中心の歴史観から脱却して広い視野を持たせる、そのことのためです。ぼくらが中学生の頃には、歴史教科書の1/3程度が世界史教育のために割かれていました。それがどんどんと削られ、中学では世界史を勉強しないとの思い込みに至るくらいに頁数が少なくなってしまったのは、2000年代以降のことです。かつての子供たちは、ちゃんと世界史/日本史の繋がりのなかで授業を受けていたのです。