日本神話を取り扱うことはありますか? / 古代神話に興味があるので、おすすめの文献があれば教えてください。

神話は、日本列島の歴史・文化を理解するうえで重要な意味を持ちます。この講義でもさまざまに取り扱ってゆきますが、大切なのは、そこに書かれた内容が、即何らかの歴史的事実を反映しているとは考えないことです。神話がその社会においていかなる役割を担っていたのか、いかなる機能を持つものとして伝承されていたのか、その点に注意することが必要です。ちなみに古代神話関係でお薦めの文献は、例えば以下のようなものですね。
・斎藤英喜『読み替えられた日本神話』講談社現代新書、2006年
・同『アマテラス―最高神の知られざる秘史―』学研新書、2011年
・工藤隆『古事記の起源』中公新書、2006年
・同『古事記誕生』中公新書、2012年
斎藤さんの本は、神話を古代という枠組みから解放した新しい神話論です。中世、近世、近代という時代の変遷のなかで、仏教や陰陽道などの知識を得て神話がいかにメタモルフォーゼしてゆくか。神話といえば神道、という思い込みも破壊されます。工藤さんの本は、日本神話をアジアの枠組みから読み直したもので、少数民族の類似した物語りのなかから、『古事記』の原像が起ち上がってくるようです。