縄文時代には魚もよく食べられていたようですが、土器のモチーフなどに魚や貝が用いられていた話は聞きません。これらも信仰の対象になったのでしょうか?

次回おみせできるかも知れませんが、縄文土器には、サメやシャチなどをモチーフにした絵画も存在します。川や海にいる生き物のなかでも、より強力な存在に惹かれたようです。現在の狩猟採集民には、「動物の主」に関する信仰が色濃く残っていて、森林における熊、沼沢における蛇、海におけるシャチなど、それぞれの環境を象徴するような動物がヌシとして崇められています。狩猟によって得られる獣の肉は、それらの主が人間との契約に基づいて送ってきてくれるものと考えるのです。縄文時代にも類似の信仰があり、土器に描かれたり象られたりした動物は、多くそのヌシに当たるのではないかと推測されています。