『古事記』『日本書紀』の両方に神話の部分が書いてあると思うのですが、神話の部分と人間の部分の区別はどのようにして分かったのでしょうか。神武天皇から実在と聞いているのですが…。

まず『古事記』『日本書紀』自体が、その構成において、神代と人代の区別を設けています。また両書は極めて政治的な傾向を持った書物で、大化改新以降の新しい記述にもさまざまな脚色、改変がなされていますので、中国や朝鮮半島の文献史料、考古資料等々と比較しつつ、全体を厳密に史料批判しながら利用してゆくことが必要です。そうした立場から読み込んだ場合、雄略天皇以前の天皇については実在を確定することができません。雄略以降も系譜に捏造があり、事跡記事にも重複等々があるので、注意しながら扱うことが大切です。神武天皇の実在などは、信仰のレベルにおいてしか語ることができません。