祖先とは、自分の何代前までの人を指すのでしょうか。亡くなった親族が、それぞれの地域での回忌を終えると祖先となると聞いたのですが。

回忌終了云々との説明は、50回忌を終えた死者は個体ではなくなり、霊界(山など)に入って祖霊と一体化するとの考え方ですね。確かに、柳田民俗学などではそれに類する形で解説されますが、それが唯一の考え方というわけではありません。「祖先」や「先祖」という言葉/概念は、日常の用語としても学術用語としても使用されますので、時代によっても地域によってもさまざまな語られ方がありうるでしょう。しかし逆にいうと、確かにきちんとした定義が必要ということになります。縄文時代の講義では、「現在の自分、もしくは自分の所属する共同体に、その生命の根拠を提供している死者」といった程度の意味で用いました。よって、何代前の人かどうか、といった区別はとくにありません。