現在のような神社の形態は、どのようにして始まったのでしょうか。

講義でお話ししたように、原型は古墳時代の自然祭祀にあります。しかし、その当時は時期に応じた祭祀が行われる祭場だけが設定され、社殿等は作られていませんでした。これが整備されてゆくのは7世紀末〜9世紀のことで、仏教の寺院に対抗し、中国の王宮建築を模した寺院伽藍とは対照的に、列島の王宮建築を踏襲して設計されていったものと考えられています。しかし、伊勢神宮など一部の神社以外は、古代〜中世にかけて仏教の影響を受け、神仏習合の形式を採る姿が一般的となりました。神社の近辺に神宮寺が建てられ、神を仏教の方法で崇拝することが広く行われたのです。かかる形態が改定されたのは明治期の廃仏毀釈で、神仏がはっきりと分離され、神宮寺は解体されて、これまで奉祀されてきた習合的神格は、一般的な『古事記』『書紀』の神にその座を譲ることになったのです。