ピーター・ゲイの話で、「歪みを武器とする」とのことですが、「彼しかなしえない洞察」には意義や重要性があるのでしょうか。

意義はある、とすべきでしょうね。もっと正確ないいかたをすると、「意義」や「重要性」は支配的価値観によって付与されるものなので、逆に歴史の多様性を阻害するものとなってしまうのです。一方では「個別分散化」との批判を受けることになるでしょうが、個々の関心によって見出されたものこそが、時代や社会の拘束を乗り越えて、持続的な価値を創出する可能性があるわけです。