山口神社は、対象の山の木々が伐採されてなくなってしまい、山口祭儀を行わなくなってしまった後も、神社として残り続けるのでしょうか。

資料に示した山口神社の多くは、山口祭儀を行っていた場所に、恒常的な社殿が建立されるに至ったものと考えられます(すべての山口神社がそうだ、ということではありません)。それらのうち、もはや木を切り出さなくなった場所でも、地域や王権の守護神と位置づけられているものは、神社が残り続けます。場合によっては、山のなかの方へ奥宮や本殿が置かれ、山口が里宮や拝殿に転化してゆくこともあったでしょう。しかしもちろん、意義を失って廃絶した山口神社も多かったと考えられます。資料に挙げたなかでも、山口神社として現存しているものは多くありません。