前近代の「客観性」には宗教的要素が伴うとのお話でしたが、それらをふるい落とすことで成り立った近代学問は、本当に「客観的」なものなのでしょうか。

当然の疑問ですね。質問の主旨とはちょっと違うかも知れませんが、例えば、現在高度に発達している化学や物理学の知識を、皆さんはどれだけ持っているでしょうか。また、それは皆さん自身が実験によって解明し、きちんと実証した事柄でしょうか。日進月歩で宇宙の実像が解明されてゆき、各種の天体や現象をめぐって新しい発見がなされていても、我々にはそれを確かめる術はありません。しかし我々は、「科学」という名のもとにそれを信じてしまっているわけです。そういう意味では、現代科学も信仰と同じだといえるでしょう。