境部摩理勢は、蘇我氏の人間なのに、なぜウヂ名が境部臣なのでしょうか。

境部とは、外交使節等々の都への出入に関し境界儀礼を行う部民集団であり、境部臣はその統括者です。境部は阿倍氏の部民などから編成されたと考えられていますが、職務上摩理勢は、外交・対外軍事を担うようになってゆきました。蘇我氏は渡来系氏族の統括も担当していましたので、やはり対外軍事や海上交通を司る阿倍氏とは関係が深く、摩理勢の王権における、そして蘇我氏内部における位置は極めて重要であったと思われます。「境部」は主に職掌を表す部分ですので、『書紀』には「境部臣摩理勢」と表記されているものの、正確には「蘇我境部臣摩理勢」であったと思われます。