非業の死者の話で、私は祖母のことを、亡くなって以降、自分を守ってくれる存在として認識している。これも〈寄り添う死者論〉のなかに入るのだろうか?

近親者がその死を納得し受け容れてゆくための、もっとも効果的な言説のひとつであることは確かですね。お通夜や葬儀の場では、宗教の相違を超えて、この種の物語が提供されることが多いだろうと思います。しかし、物語りの主体が伝統宗教かそうでないかによって、内実に相違が出てくる場合もあります。例えば、そのお婆さまが浄化されて仏に昇華しており、生身の人間とは異なる慈悲の態度で子孫を守護していると説明されるなら、それは鎮魂に近いものになるかもしれません。