乙巳の変で実働部隊を務めた「犬飼」の一族と、5.15事件で殺された犬養毅とは関係があるのでしょうか。

少々難しいですが、直接的関係はないようです。犬飼の系列は、授業でお話ししたように、供御の狩猟や屯倉・宮殿の警備のために犬を飼育・活用した氏族です。後に橘氏を生じる県犬養氏などは、神魂命8世孫阿居太都命を祖神とすると伝えています。しかし犬養毅の犬養家(もと犬飼)は、岡山の吉備津神社に奉祀される吉備津彦の随神 犬飼健命を祖神とするようです。これは中世以降に新しく作られた神格で、毅の犬養(飼)家もそれほど古くはない家柄でしょう。